感情のコントロールってどうやるの?④

感情とその裏にある思考が分かったとしても、一度燃え上がってしまった感情を収めるのは難しいことがあります。今回はその感情を落ち着けるための方法をいくつか紹介します。

 

 

①その場から離れる 

前回も書いたように、感情は時間とともにピークを迎え次第に落ち着いていきます。しかし、まだ燃え盛っている時に新たな刺激(子どもの泣き声や言い返してくる声など)が加わると、感情は落ち着くどころか一層燃え上がってしまいます。ですから、もし状況が許すのであれば、感情が一旦落ち着くまでは子どもの安全を確保した上でできるだけ子どもと距離をとった方が良いです。別の部屋に避難するなどして、少しでも気持ちを落ち着ける時間を稼ぎます。


②体をリラックスさせる

体と心は密接につながっているので、身体がリラックスすると自ずと心も落ち着いてきます。

よく知られている方法としては深呼吸がありますね。ポイントは、吸う息は短く、吐く息は長く、です。(吸う息の方が多くなってしまうと過呼吸になってしまいます。)

また、筋弛緩という方法も体の力を抜くのに最適です。これは、全身の筋肉に一気に力を入れた後、一気に脱力するという方法です。

運動もストレス発散に適しています。運動の後は副交感神経が働き体をリラックスさせることができます。


③安心できる刺激を用意する

このアロマの匂いを嗅ぐと気持ちが和らぐ。スイーツを食べると幸せな気持ちになる。このように自分にとって安心だな、幸せだなと思えるものは誰にでもあるものです。これらは燃え上がってしまった感情を落ち着ける際にも効果的です。


例えば…好きな音楽を聴く、ハンカチに染み込ませたアロマの匂いを嗅ぐ、チョコを食べる、ハーブティーを飲む、お気に入りの動画を見る、ふかふかの毛布にくるまる などなど。


このように、自分が今感じている感情から少し距離を置く後押しをしてくれる刺激を事前に考えて準備しておくと役に立ちます。

 


より深く知りたい人のために

もう少し深掘って話をすると、実は不快な感情をどうにかしてなくそうと躍起になることは、結果的に感情と距離を置くことを妨げてしまいます。これは一見矛盾しているように見えるかもしれません。しかし「不安を遠ざけたい」と思えば思うほど、不安のことについて考えてしまうということってありませんか?人間とは不思議なもので、考えまいと思うと考えてしまう生き物です。そして不快な感情をなくそうとして起こす行動は様々な問題につながります。(実はこれが人間が抱える様々な苦悩の原因になります。)

今回紹介した方法は、感情による一時的な衝動を抑えるための方法にすぎません。大事なことは、その嫌な感情を自覚し自分の中に留めておきながらも、自分がしたいと思う行動をするということです。

例えば、「こんなにいうことを聞かなくて我儘な子に育ってしまうかもしれない」という思考により不安が芽生えてきたとしても、その思考と不安を自覚しつつもそれを自分の中にとどめ、本当に自分がやりたいと思っていること(冷静な態度で指示を出したり話を聞いたりすること)をやり続けることが重要になります。この場合のポイントは、不安を小さくすることを目的とした行動をしないということです。子どもに対して感情的になったり厳しく接すれば、一時的に不安は小さくなるかもしれません。しかし自分の感情の低減を目的とした対応は一方的だったり極端な関わりになりやすいので、結果的に様々な問題につながる可能性があります。

感情に巻き込まれた状態では自分のしたいことはできませんから、一度感情から距離を置く必要があります。今回紹介した方法はそのためのものです。ですから、これらの方法を試してみて少し落ち着いたら、また子どもの元に戻り、自分がしたいと思う関わりをすることが最終目的となります。